[戦国武将10] 衣装のモデリングPart3 -リトポしたモデルとMarvelous Designer/zbrushでスカルプトした衣装モデルを掛け合わせレンダリングする-

2020年9月3日

こんにちは!越智光進です。

前回はMarvelous Designerを使ったシワのシミュレーション、MAYAとzbrushを使ってローモデルの作成という所まで進めてまいりました。
今回はさらに細かいシワや厚み等、最終的なシルエット形成をして本番用の衣装のモデルを完成させます。

 

まずはMarvelousで作成したsourceモデルの縫い目にあたる部分にエッジを足して縫い目が少し目立つようにして、zbrushへGOZします。
この時のエッジの本数はリファレンスの柔らかさとか硬さに応じて本数を増やしておきます。↓

 

 

そして、こちらのsourceモデルのsdivを上げてリファレンスを見ながら必要な細かいシワをシワを生成するブラシ等でスカルプトしていきます。
できる限りMarvelous Designerで作成した大きめのシワは崩さないように。↓

ブラシは基本的には自分でAlphaやmodifyを操作して作成していますが、いいAlphaやブラシなどが外にあればそちらを活用したりすることもあります。
この辺りは適材適所です。

 

 

すべてのパーツにスカルプトを追加してProject用のモデルを完成させます。↓

今回の衣装に関してはそこまでスカルプトを重視する箇所もありませんが、できる限り詳細なシワをつけていきます。


 

次にMAYAから作成したローモデルに1スムースをかけて本番用のベースモデルに変換、ボーダーラインの手前にinsertEdgeでサポートエッジを追加しておきます。
(もしくはZmodelerでInsertをかけてもOKです。)↓

※このボーダーエッジの準備は非常に重要で、zbrushへ持った行ってsdivの数値を増やした時のモデルの縮小を抑える効果があります。
特に厚みないオブジェクトに対してProjectAllをかけるときは必ずサポートエッジを入れるようにした方がUVの歪みを最小限に抑えてくれます。↓

 

 

zbrushは薄い形状のProjectAllは非常にナーバスな確認になる事が多いのでポリグループを分けて色を変え、重なり合っている面が交差しないように気をつけましょう。↓

 


そして、ここからが今回のキーポイントですが、まずはsdivをかける前に一度ProjectAllをしそのモデルをまずはGOZしておいて本番用のモデルとして使います。
なぜこの動作をするかというとディスプレイスメントマップをかけた時の形状の変化をできる限り抑えるためです。映像のモデルはリアルタイムではないのでディスプレイスメントを使うと形状に凹凸が入ります。
このローモデルの変化が激しすぎると衣装を着せたりした場合いくらMAYA上で上手く衣装を着せてもレンダリングした段階ではみ出しが出てきてしまい見た目の感覚で直していかなければいけなくなります。
ですので出来る限りそれをなくすためにProjectAllをかけた後のモデルを使用します。
(マップ掃き出しの際、switchMTをかける方法もありますが、形状の変化をできる限り抑えるため私は衣装関係では使用していません。)↓

 

 

この後、衣装すべてのディスプレイスメントマップとノーマルマップをoutputします。
※ノーマルマップは基本そのまま使いませんが、テクスチャーベイク用としてはきだします。↓

 

 

マップ出したらMAYA上でGOZをしたベースモデルの厚みの部分と縫い目の凹みをサポートエッジを足して作成します。
また紐で縛られた箇所や、胸周りのベルトなどもしっかりzbrushのIMMブラシをオリジナルで作って具現化します。↓

これでレンダリング前のモデルの準備は完成ですので、各種マップの設定をしてレンダリングをかけます。
(マップの設定は以前のブログ5を確認ください)↓

最後にターンテーブルを回し、表と裏で交差しているのところがないか、はみ出していないか等細かくチェックし、形状の変化が必要ならzbrushに戻ってマップを出しなおしたりMAYA上で治せるなら調整をしていきます。

 

 

これで衣装ベースが完成しました!

現状、兜まではセミナー用にカラーを入れたのと、衣装も仮で色だけ置みましたが着色に関しましてはあたらめてMARIの方で描いてまいりますので今後ご説明してまいります。

次回からは兜までは作成しましたが、作成した衣装の上に着せるための鎧をひたすら!作成していきます。

今回も読んでいただきましてありがとうございました!

 

 

[戦国武将9] 衣装のモデリングPart2 -MarvelousDesignerで作成したモデルをMAYAとzbrushでリトポする-

こんにちは、越智光進です。

進捗が遅くなりまして大変恐れ入ります。
前回はMarvelous Designerを使った衣服の作り方の基本を説明いたしました。
今回は作成したデータを元にMAYAやZbrushを使ってfix用のモデルにコンバートする説明をいたします。

衣服に関してはMarvelous Designerを使ってある程度までベースとなるシワをシミュレーションさせ、さらに必要なインナーの衣装を作成しました。
前回から、肩から手のひらにつながる鎖帷子、前垂れを追加しています。↓

 

大体のシワのベースが完成してきましたら、形状保持と、粒子間隔を上げ下げする設定をし、より近いシワの流れを作成します。
粒子間隔はデフォルトで20になっています。

この数値に関しては、設定を下げるとより分割数が割られるのですが、割られることによってシミュレーションをかけるとより細かいシワが生まれてきます。
ですので、私の場合は基本的な素材の数値をを「10」として、生地に対して素材が固い場合は設定値「15-20」くらい、柔らかく細かいシワが入る場合は「3~7」くらいを設定してあげるとよいかな?
と考えています。

例えば、同じ生地の中でも襟にかかる箇所は少し硬くしたいのであまり細かいシワをつけたくないから「20」、他は「10」くらいと、同じ素材のなかでも数値を変えると変化が生まれます↓

 

また、圧力設定でもシワの大きさを調整できます、こちらを設定しすぎると風船のように膨らみすぎたり吸い付きがひどくなることが多く、「-1+1」でもかなり影響がでますので
必要な場合は注意しながら設定をしてシミュレーションをかけ、その途中で止めた形状を保持させて理想のシワを持たせたりする方法も重要ポイントです↓

 

上記のように最終的に調整をしましたら、ファイル→エクスポート→OBJ(選択のみ)から制作した衣装のみをexportします。


そして、ここからが今回のキーポイントなのですが、今回の制作フローとして、あくまで静止画用のモデルを作成しているわけではないということと、Marvelous Designerで作成されたポリゴンをそのまま使用することが難しいことから、本番用のポリゴンのモデルにリトポロジーをしないといけません。
ですので、厚みや細かいシワはMAYAやzbrushを使って調整していきます。

 

シワのシルエットが完成したら、objでエスクポートします。↓

モデルを現状のモデルにインポートしたらモデルとUVのスケールの調整をします。
UVはmarvelous内で配置調整できますが、
MAYAでも簡単に出来ますのでどちらでも大丈夫です。(かなり大きいので場合よっては100分の1に落とす事になります。)↓

 

 

次にブレンドシェイプと、ラップを使って衣装のコンバートをしていきます。

まずはスケール調整したモデルをデュプリケートして、sourceモデルとtargetモデルを作成し、UVポリゴンに変換します。
※この時UVshellごとにオブジェクトは切り離して結合してください。

そして、変換したモデルと元のモデルを選択してプレンドシェイプをかけておきます。↓

 

 

次にUVポリモデルをGoz→zbrushでZremesherをかけるか、MAYAでポリゴンにスナップさせながらリトポをしていきます。
まずはZremesherをかけて全体の流れを決めた後にMAYA上で修正をかけて完成させると理想的です。↓

※この時のZremesherの数値なのですが、私の場合は作成する衣装のモデルをまずはアニマティクス用のモデルと併用したいので
少しポリゴン数は抑えめのモデルとして作成し、それを分割して後々zbrushでplojectをかけて本番用のモデルを作成させています。

 

 

また、この段階でX軸90度方向から必ず、PlanerマッピングでUV展開をしておいてください。↓

 

 

リトポが完成したら、UVモデルと、リトポモデル選択してラップをかけます。
ラップをかけたらプレンドシェイプを操作してリトポモデルが付いてくる状態で元に戻します。↓

 

この工程を各パーツに繰り返し、全体の調整された全体の衣装のローモデルを作成していきます。↓

 


全体のローモデルが完成したところで、UVshell同士の接合面で合わないバーテックスをつなぐためのエッジを足したり消したりしながら編集していきます。
正直この工程が一番面倒なのですが、0から作成するよりもはるかに性格ですしコストは抑えられますのでしっかりつないでいきます。↓

 

この時エッジを足す場合、InsertEdgeLoop Toolを使いますが、オプションの中のInser with edge flow にチェックを入れておくと、シルエットの丸みに合わせたエッジを
作成してくれるので形状が変わることなくスムーズに作業ができるのでおすすめです。↓

 


最後に展開したUVをUDIMとして並び替えておきます。
この工程で厚みなどはまだつけていませんが、ベースとなる衣装のモデルが出来上がりました。
本番用はさらにこちらをsubdivideかけて完成になります。↓

 

長くなりましたので今回はここまでに致します。

次回は、
MarvelousDesignerで作成したsourceモデルと、今回作成したベースモデルをzbrushを使いながらさらに細かいシワ等を作成し、つなぎ合わせ、DisplacementMapやNormalMapを出力してMAYAでレンダリング確認をします。

 

今回も読んでいただきましてありがとうございました!

[戦国武将8] 衣装のモデリングPart1 -MarvelousDesignerを使って理想のシワを作成する-

こんにちは、越智光進です!

前回は鎧の制作Part1と題しまして、兜までの制作を致しました。

セミナー用で先に兜を作成しましたので鎧の制作としましては順不同になってしまいますが、
今回から何回かに分けてMarvelous Designerの基本操作を説明しつつ内部衣装の作成を施してまいります。

Marvelous Designerは型紙を作成してそれを作った人体等に着付けして皺のシュミレーションをしてくれるとても便利なツールです。
また、Marvelous Designer自体はツールのコマンドもさほど多くないので、シャツやパンツといった簡単な衣装ならすぐに作成が出来る点も使用する理由です。
基本操作に関しましてYouTube等で検索しましたらhow-toもたくさん載っていますでまずは探してみてもよいと思います。また、これから始める方はまずはtシャツ等、テストで作成すれば覚えやすいと思います。

衣装関係の作成で主に重要なことは型紙を出来る限り間違わずしっかり作るということです。
ここが狂ってしまっていたらいくら頑張っても理想のシルエットにはならないので注意が必要です。

もちろん型紙の資料がない中で作ることの方が多いのですが、そんなに奇抜なデザインではない限りベースになる型紙は探すことが出来るので参考までに見ておくと良いと思います。

 

 

※型紙の見本はマーベラスデザイナーを開いた際に参考を見ることもできます。

 

上記の点からより服飾関係の知識も求められるのですが、まずはあまり難しく考えず機能を覚える事を優先して作成していくと楽しく覚えられると思います。
ある程度覚えてきたら服飾の知識も視野にいれながら勉強するとよいと思います。


では、実際に作成していきます。

今回は鎧の下に着ている白い着物と、袴調のズボン、その上にさらに着ている腕周りの鎖帷子パーツと、腰巻の計4点が必要になります。

何がどういう形状をしているのか、つなぎ目はどこなのか?を確認しておきます。
これをふまえまずは上半身の着物と袴から作成します。

 

撮影した写真から縫い目をしっかり見ておくことで型紙の形状が幾分読めるので展開がしやすくなると思います。
UVを読むのと同じような考え方でしょうか。

 

大まかな素材を把握したら作った素体モデルをobjもしくはfbxで吐き出し、Marvelous Designerに読み込みます。

 

※この時、実際の大きさのスケールが合わないことがありますので10倍、もしくは100倍にしてインポートしてください。
(通常mmで開くなら10倍、cmで開くなら等倍という計算です。10分の1スケールで作成している場合はその10倍、100倍になるので気をつけてください。)

 

インポートとしたらこのモデルがアバターとなります。まずはアバター周りの設定をします。
このアバターにより着付けをしやすくするために下図のような設定をします。
必要なアバターの周りに型紙配置用の仮想シリンダーを合わせていきます。
この設定は型紙をシュミレーションさせる際縫い合わせに誤差が起こりにくくするために必要な準備です。(設定しなくても作成は可能です)
出来るだけフィットさせるようにしっかりと配置しておきます。↓

 

設定しましたら一度セーブし、ここから画面右側の2Dビューから型紙を作成していきます。

型紙を作成にあたっては2Dビューをメインに使用していきますが、ステータスラインのコマンドと、プロパティエディターを主に使うのでどのコマンドがどのように影響をするのかまずは確認してみるといいと思います。また割り振られたショートカットキーもしっかり覚えておくと作業が早くなっていくでしょう。

 


 

型紙はポリゴン、長方形、円ツールをつかっておきたいポイントに合わせてクリックして型紙の形にしていきます。(H-ポリゴン S-長方形 E-円)
曲線にしたい場合はカーブ編集を使って丸みをつけたりできます。↓

 

 

 

※型紙を作る際は分けて作成するのですが、気をつけることは長さをかならず合わせておくことが重要です。目安だけで長さを決めていると縫い合わせをしてシミュレーションをかけたときに微妙なしわができてしまうので縫い合わせをする同士のポリゴンラインはできるだけ合わせておきましょう。

shift+Zで長さを表示非表示させることができます。↓

 


 

3dビューとも連動しますので、3dビューのなかのアバターの配置点をクリックして任意の場所に型紙を合わせていきます。(shift+F)↓

 

片面が出来たらクローンコピーをして左右対象に形状が動くようにします。(ctrl+D)↓

 

ある程度型紙の形状が完成したら一度縫い合わせをします。縫い合わせは逆にならないように注意してください。(ctrl+Bで反転できます)↓

 

縫い合わせが完了したら一度シミュレーションをかけて形状を出します。
カーソルをシルエットに合わせてドラッグして引っ張ると形状を変化させることができるので理想のシワを作成できます。↓


さらに型紙の中にポリゴン線を引いて折り曲げをつけたりゴム設定で編集していきます。
これらの設定はProperty Editorから変更できます。
図のようなラインは上着の上に袴を履くのでその境界圧力を想定して折り込んでおきます。↓

さらに裏面を作成したい場合は図のようにもう1つの型紙をコピーし、ラインを縫い合わせ、ポリゴンラインを追加して、折り曲げ設定をすることによって厚みを作ることができます。↓

 

※今回最終的にMAYA側で厚みをつけますのでMarvelous Designer内では無理に厚みをつけるつもりはありませんが、それでも厚みをつけたいときはProperty Editor内の厚みのレンダリングの数値を挙げて疑似的な見栄えで確認もできます。

Marvelous Designerで完成を目指している場合は裏面の作成もした方がよいと思います。

 


 

 

この流れを繰り返し、袴も同じような作り方で作成していきます。
ここで重要な点は衣装を重ね着させる場合は必ずレイヤー設定をして衣装同士の干渉を防ぐことをしておいてください。↓

またどうしても干渉が複雑になったり、シミュレーションをかけるとしわがずれてしまうといった現象が起こる場合はピン止めをして形状を保持することもできますし、パーセンテージを決めて固定をすることも可能です。↓

 

 

基本的な制作フローに関しましてはこのような流れになります。

新しいバージョンからスティッチも入れられるようになったので、よりMarvelous Designer内でフィニッシュまでの作成が可能になりました。今回のフローとしてはMarvelous Designer内ですべて衣装を完結させるわけではありませんが、この後は、さらに上に着る鎖帷子や前垂れを作成して細かな調整をしましたら、MAYAでのモデルコンバート、Zbrushでの調整についても次回以降ご説明してまいります。

※基本操作の説明をしているとどうしても説明不足なパートも出てきますので、気が付いた点は随時コメントを追加していくと思いますが何卒ご容赦ください。

 

長くなってしまいましたので今回はここまでにします。

読んでいただきましてありがとうございました!